「条件付き運航」とは、運航はするものの、到着空港の天候などの影響で、目的地に着陸することができずに出発空港に引き返すことや、他の空港へ着陸する可能性があると判断した便のことをいうのだ!
皆さん、条件付き運航の便に搭乗したことはあるでしょうか?かくいう私は何度も飛行機に乗っていますが、今まで一度も当たったことがありません。はじめて聞いた、聞いたことはあるけどなんだかよく分からない、実際に乗ったけどドキドキせずに乗りたい、そんな悩みを少しでも解決できればと思います。この記事では、条件付き運航の種類、もし引き返したり、他の空港に行ったりしてしまったときの対応、目的地にたどり着く確率を上げる方法などを詳しく解説します。ぜひ参考にしてください!
条件付き運航っていったい何?
条件付き運航とは、到着空港の悪天候などの影響で、目的地に着陸することができずに、出発地に引き返したり(ATB:エアターンバック)、他の空港に着陸したり(Divert:ダイバート)する可能性があることを条件に運航することです。悪天候の理由には霧をはじめ、強風、雷、台風、降雪などがあります。
いくつかある条件の中でも、実際に飛行機は飛んだものの目的地に着陸できずパイロットを悩ませるのが霧による視界不良です。
霧が覆う日本の空港
日本国内には現在97の民間空港があります。季節にもよりますが、霧の影響を受けやすい空港は新千歳、函館、釧路、青森、秋田、福島、仙台、成田、高松、岡山、広島、大分、鹿児島などと多くあります。かなり珍しいですが初夏の那覇でも霧が発生することがあります。
パイロットにとってはやっかいな霧ですが、霧が立ち込めていても自動操縦(オートパイロット)で着陸することのできるCATⅢ運航(キャットスリー ※CATはカテゴリーの略でカテゴリースリーともいいます)を行うための地上施設を有している空港があります。日本国内では、新千歳、釧路、青森、羽田、成田、中部、広島、熊本がCATⅢ施設を有しています。つまり、これらの空港では条件さえ満たせば霧で視界が悪くても完全自動で着陸することができるのです。CATⅢ運航を行うための条件についてはのちほどお話します。
自分が乗る便が条件付き運航かどうかを知る
では、ANAを例に見ていきましょう。自分の乗る便が悪天候などによる影響があるかないかは「運航状況のご案内」にある「運航の見通し」から確認することができます。
一覧に予定便の目的地が入っていた場合は「発着案内」から自分の便が対象便になっているかどうかを確認することができます。
航空会社にもよりますが、出発時刻のおよそ1時間前を目安に条件付き運航になるかどうかが決定します。(ANAは天候を見極めるためか少し決定が遅い印象)
いよいよ条件付き運航になることが決定しました。安心して飛行機に乗るためにぜひ知っておきたい運航状況ですが、公式サイトをわざわざ見に行くのは少し面倒です。そこで「ANAアプリ」を使うともっと簡単に情報を入手することができます。「運航状況」タブから公式サイトと同じ情報を確認することができますし、予約を持っていれば自分の便が天候調査中または条件付き運航かどうかをアプリの通知で簡単に受け取ることができます。その他、メールアドレスを登録することでメール、電話番号を登録することでSMSでも同様の情報を受け取ることができます。新しくなったANAアプリでは搭乗案内を開始するとプッシュ通知受け取れることもできるためぜひANAアプリをダウンロードして使ってみてください!
もしATBやDivertをしてしまったら?
再び、ANAを例に見ていきましょう。
- 出発空港へ引き返した場合
手数料なしで出発日から30日以内の別便への変更または払い戻しができます。 - 別の空港に着いた場合
元の搭乗便の到着空港までの定期地上交通機関(新幹線、電車、バスなど)の交通費を負担してもらえます。別の空港への到着が遅れたことによって目的地(自宅など)まで定期地上交通機関を使ってたどり着くことができずタクシーなどを利用する場合も、15,000円を上限に交通費を負担してもらえます。
※すべて事後精算となります。領収書は必ずとっておきましょう!
詳細は「よくあるご質問」の『【国内線】搭乗予定のフライトで「悪天候のため、着陸できない場合は別の空港へ向かうか、出発空港に引き返すことがある」とアナウンスされました。別の空港へ向かった場合、目的地までの地上交通費は負担されますか。また、出発空港に戻ってきた場合、搭乗済みの航空券はどうなりますか。』を参照してください。どうすればよいか分からないときは、落ち着いて空港のANAスタッフに尋ねましょう!また、航空会社によって対応は異なります。必ず自分が搭乗する便の航空会社のサイトで確認をしてください。
目的地にたどり着く確率を上げる方法
さて、ここからが本題です。目的地にたどり着く確率を上げる、そんな奇跡みたいな方法があるのでしょうか?
どの便がCATⅢ運航を行う便なのかは空港のスタッフに尋ねてもおそらく答えは返ってきません。ですが、先ほど見た「運航状況のご案内」の「発着案内」からCATⅢ運航を行う可能性の高い便を見つけることができます。
CATⅢ運航は空港の施設、飛行機の装置、パイロットの資格、滑走路面の状態、横風制限など様々な条件を満たすことで成立します。ANA523便はその条件を満たしているため天候調査中になっていないのです。ただし、万が一飛行中に空港の施設や飛行機の装置に故障が発生した場合はCATⅢ運航ができる空港であっても天候によっては着陸できなくなる可能性はあります。
ANA521便、1625便など機種にQ84とあるのはDHC-8(プロペラ機)で運航する便です。視界不良の場合にほぼすべて条件付き運航になっているため、飛行機にCATⅢ運航を行うための装置がない可能性が高いです。また、前日の夜にはANA1625便まで天候調査中の表示でしたが、当日の朝にはANA1627便、527便が追加されていました。目的地の空港の天候が一日中悪い予想であったとしても、一挙にすべての便が天候調査中と表示されるわけではない点に注意が必要です。
一方で、条件付き運航になっているからといって、必ずしも着陸できないというわけではありません。むしろ、着陸できる見込みがあるので条件を付けて運航されているはずです。でも、もし自分の乗る予定の便が天候調査中になっていたら、もし前後の便に空席があって出発を早めたり遅くしたりしても問題なければ、ぜひCATⅢ運航の便に替えることを検討してみてください!
まとめ
今回は、条件付き運航の種類、もし引き返したり、他の空港に行ったりしてしまったときの対応、CATⅢ運航の便を選んで目的地にたどり着く確率を上げる方法ついてお話しました。行きたいところに短時間で着けるとても便利な飛行機ですが、悪天候にだけは敵いません。大事な仕事に遅れたり、せっかくの旅行で時間を無駄にしたりしないためにも、ぜひ参考にしてみてください!